「農作業体験記」は、東京生まれ東京育ち。農業についてほとんど何も知らない地域おこし協力隊Rが、飯山の農家さんにおじゃまして、気づいたことをお伝えしていく連載です。
4月に入ってから大雪が降った飯山。寒さのせいでちょっと遅れたそうですが、飯山市木島地区にある岡忠農園さんから、ビーツの播種(はしゅ)を行いますとの連絡がありました(岡忠農園のプロフィールは記事の最後でご紹介しています)。
播種…漢字で意味はわかるけれど、読み方がわからず調べました(笑)。
4月5日午後からビーツの播種の作業をお手伝いしました。種をいきなり畑にまくのではなく、まずは苗をつくります。
それでは手順を。
苗用のトレーに根の成長をそこまでで止めるシートを敷いて「チェーンポット」をセットします。ハチの巣状になった一つひとつの区画に種をまいていきます。
なぜチェーンなのかというと、ポットを一列ずつびよーんと伸ばすと、ポットの間が10センチの隙間を保った鎖状になるそうです。考えた人、すごいですね。
ここで便利な農作業機器が登場! 苗用の培養土をセットした「かんたんくん」。トレーを乗せて押し出すと、上から土が均一に落ちてきていい具合に。
ブラシでたたいたり、ならしたりして、各ポットにまんべんなくぎゅっと土をセットします。今回は、これを80枚作ります。
次は種をまくための穴を作ります。「もしかして、ひとつずつ手で押すのかな?」と、思っていたらそうではなく、凸型がいっぱいついたアクリルの板をぎゅっと押し付けるだけでした。
各ポットの中央部分が、均一の深さに凹みました。これ、一つひとつ手で穴を作っていたら、深さが均一にならないのでダメなんだそうです。なるほど。
次は穴に種をひと粒ずつセットします。ビーツの品種は「ゴルゴ ビート」 というもの。殻の中に種子が1~3つはいっています。
「今度こそ、ひとつずつ手作業?」と思っていたら、すごいものが登場!
ポットに合わせて穴が空いている透明アクリル板が二枚重ねになっていて、上の板の小さい穴に種を一粒ずつセットしてから、その板を横にスライドさせると、下の板に空いた大きな穴に種がころんと落ち、各ポットに一粒ずつ種がまかれる仕組み。
覆土(苗用の培養土とは違う土をかぶせるそうです)をかけてできあがり。
ビニールハウスに入れて様子を見ながら水をたっぷりやり、3〜4日で芽が出てくるそうです。この日は新月で「いい芽がでてきそう」とのことでした。
それにしても、各作業ごとに便利な農作業ツールがいろいろとあるものですね。
岡忠農園プロフィール
2014年、夫の岡田忠治さん(写真中央)の出身地である長野県飯山市に、妻・早苗さんと夫婦でUターン。引っ越しの片付けが終わり、ヒマになったから裏の畑で野菜でも作ってみるか、というのが岡忠農園のはじまりだったそう。
東京で長年アパレル業界の営業をしていた 忠治さんが「服も野菜も、作って売るのは同じこと」「誰に何を売るかを決めてから作る」というポリシーで、販路を自ら開拓。食品の宅配システム会社やレストランなどに直接栽培した野菜を販売しています。現在はケール、ビーツ、紅芯大根などを栽培しています。