米粉で作る北信州の2月の郷土食。素朴な味わいの「やしょうま」

米粉で作る北信州の2月の郷土食。素朴な味わいの「やしょうま」

2023/02/23

雪で家に閉じこもりがちになる冬。そこでこの冬は、テーマをいくつか決め、深堀りをしていました。そのうちのひとつが米粉。

米粉パンやお菓子作りに挑戦をしていたのですが「できれば地元飯山産の米粉を使いたい」と考えていたところ、米粉で作る郷土食「やしょうま」作り体験が開催されるとのこと。情報収集も兼ねて参加してきました。

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やしょうまは仏様にお供えするもの

2月某日、飯山市公民館の料理実習室。コロナ禍でやしょうま作りのイベントは、3年ぶりの開催とのこと。感慨深いですね。

飯山の食といえば…講師は「いいやま食文化の会」のみなさんです。メイン講師は小野沢さつきさん。

やしょうまは、主に米粉で作るお団子のようなもの。2月15日のお釈迦様の命日に、仏様にお供えするものです。

この時期、いいやま食文化の会が作ったやしょうまが、飯山市内の道の駅、花の駅千曲川の農産物直売所で販売されています(例年2月中旬〜末日あたりまで)

やしょうまの名前の由来は…お釈迦様が亡くなる直前に、弟子のやしょが米粉で団子を作って差し上げたところ「やしょ、うまいぞ」とおっしゃった…とされています。

昔々、この地にはダジャレ好きなお坊さんでもいたのでしょうね(笑)

やしょうまの材料と作り方

やしょうまの材料は米粉、砂糖、塩、熱湯とシンプル。今回は生地が「すべらっこく(なめらかに)なるように」もち粉(もち米の粉)も少し加えています。

やしょうまに入れる具として、固茹でした黒豆や青豆、黒ごま、ゆかり、青のりが用意されていました。飯山では家で採れたものや身近にあるものをやしょうまに練り込むのが特徴。よその地域では、生地にさまざまに色を付けて、お花模様を描いたものや、耳たぶ型のものあるそうです。 

粉と砂糖をまぜ、熱湯を加えながら耳たぶくらいの柔らかさになるまでこねる。「よ〜くこねるとおいしくなる」と小野沢さん。

こねた生地を分け、参加者が好みの具を入れて成形します。
やしょうまの基本形は円柱形ですが、菜箸を押し当てて山型にもする。これはお釈迦様が座禅をしている姿に似ているからだそう。

成形できたら、熱々の蒸し器に入れて30分ほど蒸します。

(誰が作ったか分かるように、名前が書かれたふせんが刺さっています)

蒸しあがったやしょうまを、うちわで扇ぐとつやつやになりました。できあがり直後は包丁で切るのが難しいので、水で濡らしたもめん糸で切ってスライスします。

素朴な味わい。砂糖醤油も合う!

できたて直後はふわふわっとした食感がおいしい。ラップに包んで持ち帰り、冷蔵庫で保存(2〜3日なら常温でもいい)しつつ、翌日以降ちょっとずつ切って、グリルであぶって食べました。

米と砂糖のじんわりとした甘み。あぶった香ばしさが、素朴な味わいを引き立てます。そのままでもおいしいのですが、砂糖醤油をつけて食べることもある、と聞いたので試してみました。これも確かに合います。どこかなつかしい味だと感じました(私の母は飯山のお隣の木島平村出身で、そんなことも関係あるかもしれません)

そうそう、固茹での豆が、水分を含んでちょうどよくなっていることにも感心しました!

米粉で作るパンとお菓子の本「米粉100レシピ」

記事冒頭で「米粉パンやお菓子作りに挑戦をしていた」と書きました。ネット上にレシピはたくさんありますが、結構失敗をしまして、おそろしく固いピザ生地ができたり…。おいしく作るのは難しいなと感じていました。

そして米粉パンといっても、よく見ると小麦粉も入っているものが結構あります。

私が見つけた「米粉100レシピ」(高橋ヒロさん著・主婦と生活社)に載っている米粉パンとお菓子のレシピは、米粉だけを使ったもので(一部、片栗粉などが入ったりもします)、実際にパンやマフィンを作って食べてみたところ、小麦粉とは違う「軽さ」を、食べている時と食べた後に感じました。シンプルなレシピで、しかもおいしい! 買ってよかった1冊です。

地元産の米粉の課題点と思われること

米粉にはさまざまな特徴があり、パンやお菓子に使う米粉は粒子が細かいものが良いのですが、農産物直売所で売られている地元産の米粉は、粉の細かさが分からないものが多い。

また、製粉をよそに頼むのでコストがかかって価格も割高になるとのこと。買う側としては、気軽に手を出しにくいというのが現状でしょうか。

地元産の米粉をうまく使えるように、もっとリサーチしてみたいと思います。